TOP GLOBAL UNIVERSITY PROJECT, Keio Global Initiatives


大胆かつ細心に

いま、日本の大学は次の100年に向けて、果たすべき役割をしっかり見つめなおす時期に来ています。1858年の創設以来、慶應義塾は日本の近代化をけん引し、戦後は高度成長を担う産業人材を大量に養成してきました。そこでの視点は基本的に日本の問題を解決するものが中心でした。しかし、今や、インターネットが世界を結び、環境問題も国境を超えた問題となり、人の動きとともに感染症なども瞬く間に世界中に広がりかねない時代です。日本の課題を解決する上でも、視座を世界に定めて、地球規模の課題を解決する学問を深めていかなければなりません。

世界の課題解決には二つの意味での協働が重要となってきます。一つは世界の研究者との協働です。幸い慶應義塾は歴史の中で培ってきた、300に近い大学間協力協定を有しています。この圧倒的なネットワークを活用しながら、世界の知恵が結集するハブとなることを目指したいと思います。

いま一つは、専門分野をまたがった協働です。環境問題一つとっても、技術的な視点、生態系的視点、経済的視点などなど、多面的に検討し、解決方法を統合していかなければ、課題解決の道は開けません。従来の専門分野は基礎的な理論、方法論の足場として大切にしつつ、多くの分野の研究者や学生が一緒になって問題を分析し、解決方法を導き出していかなければなりません。

慶應義塾では、スーパーグローバル大学創成支援事業採択を機に、この二種類の協働を行う場として、長寿(Longevity)、安全(Security)、創造(Creativity)の三つの「クラスター」を立ち上げました。いずれも世界が共有する分野であり、慶應義塾が大きな貢献をしうる分野でもあります。これから本部の持つ国際的な研究教育用の資源をその三つのクラスターを通じて大学各部門に提供する体制を構築していくことになります。

教育にも力を入れていきます。慶應義塾のスーパーグローバル事業では、全ての学生が国際的に研究発信ができる人材となることを目指して、学部レベルの学際的かつ英語による教育も推進しています。その仕組みを留学生にも開かれたものとして、外国人学生の増加もはかっていきます。

研究も教育も投資ですので、それらが実るためには時間と忍耐が必要です。果たすべき使命をしっかり認識した上で、大胆かつ細心に推進していきたいと思っております。

青山藤詞郎

常任理事(教育、研究担当)
青山藤詞郎